「eco-バブル®の養殖利用【第2回】 エビ養殖の未来を変える! eco-バブル®曝気システムの実証データと効果

(本記事の内容及びデータは、月刊養殖(堤氏)に掲載された過去の研究を基にしています。)
エビ養殖の水質管理の重要性
エビ養殖では、水中の酸素供給が生産性を大きく左右します。溶存酸素(DO)の不足は、成長遅延や死亡率の増加を招くため、適切な曝気が不可欠です。従来の曝気装置(puddle wheels)は酸素供給に貢献しますが、DOの低下を完全には防げません。
ここで注目されるのが、eco-バブル®曝気システムです。微細なバブルを発生させることで、効率的に酸素を供給し、水質を改善します。本記事では、実際にeco-バブル®を導入した養殖場のデータを基に、その効果を検証します。
事例紹介:タイ・バナメイエビ養殖池での実証データ
タイのチャンタブリ県にあるバナメイエビ養殖池(80m × 70m × 1.5m)では、従来のpuddle wheelsに加えて、「eco-バブル®曝気システム」を2セット導入しました。システム構成は以下の通りです。
送水ポンプ(1500W)
ミニコンプレッサー(200W × 2基)
マイクロバブル発生装置
このシステムの導入により、DOの安定化とエビの成長促進が期待されました。
eco-バブル®導入後の効果
1. 溶存酸素(DO)濃度の安定化
導入前は、エビの成長に伴い餌の消費量が増えると、夜間のDOが3 mg/Lを下回ることがありました。しかし、eco-バブル®導入後は、DOの日最低値が5 mg/Lを下回ることがほとんどなくなり、水質の安定化が実現しました。
2. エビの成長促進
eco-バブル®導入池と未導入のコントロール池でエビの成長を比較した結果、以下のデータが得られました。
指標 | コントロール池 | eco-バブル®導入池 | 結果 |
---|---|---|---|
82日後の個体重量 | 15.1g | 20.0g | 約32%増加 |
収穫までの日数 | 105日 | 82日 | 約22%短縮 |
飼料転換率(FCR) | 1.67 | 1.15 | 約31%改善 |
eco-バブル®を導入したことで、エビの成長速度が向上し、収穫までの期間が短縮されました。また、FCR(飼料転換率)が改善し、より効率的な養殖が可能になったことが分かります。
eco-バブル®導入のポイントと注意点
eco-バブル®曝気システムは、既存の曝気装置に追加する形で導入できるため、比較的導入しやすいのが特徴です。しかし、最適なシステム構成は、養殖池のサイズや形状、エビの密度によって異なるため、導入前に試験運用を行い、適切な設定を見極めることが推奨されます。
次回予告:魚類養殖へのeco-バブル®の応用
次回の記事では、eco-バブル®の魚類養殖における応用についてご紹介します。マダイ(真鯛)養殖での成功事例をもとに、eco-バブル®が魚の成長促進や溶存酸素の改善にどのように貢献するのかを解説します。